魔にして魔を狩る者
第十七話










礼園の件も終わりしばらくたった。
そのしばらくというのが平穏な日々だったのなら最高だったのだが、そうは行かない運命らしい。
礼園での件に味を占めたのか、橙子師を含めた女性陣は僕を女性体にして着せ替えをしたがっている。
十二単なんてどこから持ってきたのやら。
ほかにも浅上家に新年の挨拶に行ったときなども大変だった。
常人なら何度死んでいるんだろう。
鮮花さんと式さんの仲もだんだんと白熱してきた感じだし、男は居場所が減っている感じですよ。





そんなこんなで時は流れ、一つの区切りを迎えようとしている。
三年前の冬と同じく殺人鬼が出たということらしい。
同じ犯人なのかはいまだ不明だが僕が手に入れた情報から推測すると同一犯と見て間違えないだろう。
やれやれひとつ面倒ごと画片づくと次がくる。
とはいえ一度殺すと言った以上殺すとしましょう。





今回は以前のときとは少し違った様相みたいだ。
どうやら殺人鬼はここ最近はやっているドラッグの密売もやってるみたいだ。
殺す前にそれが何なのかを確かめておくとしましょうか。





そういうことでしたか。
最近はやっているドラッグを調べてみてはっきりわかったことがある。
敵は起源覚醒者だ。
本当に面倒ですね。
その起源が何なのかまでは不明ですが、戦闘に向いていることは間違いないでしょう。
最低でも起源を覚醒してから3年もう完全に手遅れでしょうね。
殺して差し上げるのが慈悲ってものでしょう。





ドラッグを栽培しているらしい場所に言ってみると案の定殺人鬼がいた。
以前よりも切羽詰っているって感じですね。
起源に飲み込まれる一歩手前、いやほとんど飲み込まれてかすかに残りがあるっていう感じですか。
本当にかわいそうです。
誰がやったのかは知りませんがやったことの責任ぐらいは取ってほしいものです。





「こんばんは、お久しぶりですね、殺人鬼さん。世間も殺人鬼と認識してから、毎日のように殺していますね。そんなに殺人鬼という名がお気に入りですか?」



「ああ、気に入ってるな。今まで名前のなかった俺に世間が与えたこの名実に的を得ているじゃないか!あまりにうれしいんでご期待に応えてやったてワケさ」



「そうですか、では僕もあなたの期待に応えて殺して差し上げます。その前に聞いておきたい事があります」



「何だ」



「あなたの起源は何ですか?それとあなたの起源を覚醒したのは誰ですか?」



「俺の起源は食べることだ。起源を覚醒したやつは魔術師荒耶宗蓮って言ったな」



「そうですかそれで十分です」





それより先の戦いを語ることにまったく意味はない。
いくら肉食獣でも竜には敵わない。
ただ一方的に殺されるだけだ。
これにてひとつの終幕とはいえ次の舞台の開幕は近い。

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