魔にして魔を狩る者
第十六話










礼園での生活も二日目になり、今日から本格的に聞き込みをすることになりました。
まずは妖精に関する被害が多い1年4組のクラス委員紺野さんに話を聞くことにしますか。
鮮花さんと黄泉それに藤乃さんと行動を共にする羽目になったのは予想外というか予想通りとも取れる感じですね。
黄泉と藤乃さんにはあまり関わってほしくないのですが、今回は一筋縄ではいきそうにないですし。





「黄泉、藤乃さん、今回の件は私は深く関わるつもりもないですので、できれば鮮花さんだけがいれば十分だと思いますが」



「お姉さま、それは鮮花と二人っきりがいいって事ですか?」



「魔術が関わっていることだからあなた方を巻き込みたくないんですよ」



「「そんなことは関係ありません」」





どうやら説得は不可能みたいですね。
まあ、聞き込みの段階では問題ないでしょう。
紺野さんから聞いた情報では問題解決には至れそうにないのでもう少し深くまで関わるとしましょうか。
鮮花さんは少しの間別行動をとるみたいなので私は1年4組の担任である玄霧先生に会ってみることにした。





玄霧先生と会って、事件について知っていることはないかと尋ねたりしましたが、そんなことは何の意味もないことがわかりました。
今回の黒幕というか原因は彼で間違いないですね。
これでは鮮花さんはおろか式さんや橙子師でもどうにもならないかも知れなったですね。
よりにもよってゴドーワードとは。
でもついているといえばついているんですが。
彼と出会ったことで私はさらに魔術師としての位階をあげることができたんですから。
他人の技を盗むなんてまるでエルトナムみたいですが、何かを学ぶということは他人から奪うということですから別に嫌悪するほどのことではありませんし。
とはいえこれでやっと五分五分ってところですか。
別に彼が誰かに直接害をなすというわけではないので放っていてもいいのですが、私に対して干渉してきた以上は倒さなくては気がすみません。
こうなった以上黄泉と藤乃さんはもちろん鮮花さんにもゴドーワードと対峙する邪魔はしないように言わなくては。
彼女たちでは足手まとい以外の何でもありませんから。





ということで夜になり、藤乃さんと鮮花さんにも来てもらって今後の話をすることにした。
鮮花さんも何かつかんだみたいですし、明日あさってのうちには事件は解決できるでしょう。





「鮮花さん、何かつかんだみたいですね。情報を教えていただけますか」



「今回の事件を起こしているのは黄路先輩です」



「そうですか、理由等については調べたんですか」



「いいえ、犯人がそうだと言っているだけですが、橘香織という生徒の件らしいです」



「まあ、どうでもいいことだから別にかまいませんが、そちらは鮮花さんに任せて問題ありませんね」



「「お姉さま(薫さん)、そちらってどういうことなんですか、ほかに何があるんですか」」



「私は今日1年4組の担任の玄霧先生に会ってきました」



「あの黒桐幹也に似た先生がどうしたというんですか、薫」



「彼と黒桐さんが似ているかは別として彼は橙子師と同じく封印しての魔術師ですよ。今回の件の原因は彼ですね。この私にも干渉してきたので倒すだけですよ」



「玄霧先生が魔術師って本当ですか」



「本当ですよ、しかも最も魔法使いに近いとまで言われてますから。本人には魔術師としての才はないですけど」



「お姉さま勝算はあるんですか」



「五分五分でしょう。まあ、彼は誰かを壊すということはしないから直接戦うにしてもダメージを負うということはないですが」



「それならいいですけど」





今回は説得することに成功した。
これより先のことは語るほどのことではありませんね。
私は玄霧先生に一撃いれることに成功し、鮮花さんは鮮花さんで問題の解決をしたただそれだけのことなのですから。
これでやっと私は私でいることをやめることができる。
普通って結構うれしいものなんですね。
今回の件で実感できました。

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