魔にして魔を狩る者
第十五話











礼園は実際にいく日が来た。
私という一人称にも慣れてきたし大丈夫でしょう。
こんな屈辱は早く終わらせてしまいたいです。
私の礼園の寮の部屋は黄泉と同じ部屋でということらしいです。
単純に任務を遂行するという意味では鮮花さんと一緒の部屋って言うほうが楽だったんでしょうが、それはいろいろ問題があるでしょう。





礼園に到着して少し寮まで歩いたんですが、かなりの注目を浴びてしまいました。
美しい女性なら礼園にもいると思うんですが。
式さんみたいに中性的な女性ならまだしも、私はかなり女性的だと思うんですが。





「黄泉、さすがにこの時期からの転校って言うのは目立ちますね」



「それもそうでしょうけど、お姉さまほどの美人はなかなかいないですよ」



「そうですか、でも女学園とかそういう環境では中性的な女性のほうが人気が出たりするって聞いたことがあるんですが」



「お姉さまはお姉さまですから年上で魅力的な女性には女性でも惹かれるものですよ」



「百合的な展開ですか、まあこれも女学園ならではってところですか」





礼園なら特にそんな展開はありえますね。
そんなことになったらたまりませんけど、私の役割は鮮花さんのサポートですからそれが終わるまでなら問題ないでしょう。
それにしても妖精ですか、誰が操っているのかわかりませんが、ミイラ取りがミイラになってたりすると厄介なんですけどね。
今日のところは一休みして明日からは鮮花さんと聞き込みというところですかね。





というわけでその後は校舎を黄泉に案内してもらったりして、まずは地理に関しての情報を集め、食事を取り、藤乃さんたちと少し話をしてから眠った。
寝ているときに妖精が私のところにも来たから目撃談が間違いではないということは分かった。
記憶を奪っていくようなタイプの力を持ってるみたいですが、そんなものでは私に干渉するなんて不可能です。
この程度の使い魔しか使役できないようでは使い手のレベルも知れますね、これなら私は目としての役割だけを果たせば残りは鮮花さんの力だけで何とかなるでしょう。
そう思いながらうとうとしていると別な方法での干渉があった。
正直こちらは鮮花さんの手に負えるレベルではないようですね。
私はそちらの対処に専念しましょうか。
どうやら忘れている記憶を思い出させようという類の干渉のようですが、それに関しては先の干渉より無意味ですね。
だって私は忘れている記憶なんてないですもの。
他人に化けるなら確固とした自分をもってないと戻れなくなっちゃいますもんね。
どこまでが自分の記憶でどこからが他人の記憶なのかそれがちゃんと認識できないと本来の自分でなくなっちゃいますもの。
だから私はどんな記憶も忘れない、否、忘れることができないんです。
それにしてもこちらの干渉をした人のほうが黒幕みたいですが、目的は何なんでしょうか?
これは一筋縄ではいかなくなってきましたね。
命の危険という意味ではたいしたことないでしょうけど、私はどんな勝負であれ負けるのはいやですから。
敵魔術師をたたき伏せないときがすみません。






戻る 次へ