魔にして魔を狩る者
第十四話










礼園で僕がやるべきことについて説明するということなので、伽藍の洞に行くことになった。
今日は元旦だってことを橙子師も考えて欲しい。
礼園の制服のサイズを確認したりもするから女性に化けて来いって言われてさらに気分は悪くなっちゃいますよ。





いつもより女性的な格好をしている上に今は女性なんだから伽藍の洞に行くまでにナンパの多いこと多いこと。
いちいち断っているのも時間の無駄になるんで、無視しているとあきらめてくれたみたいです。
伽藍の洞に到着するとそこには鮮花さん、藤乃さん、霧絵さん、セシルさん、黄泉もいた。
鮮花さんは黒桐さんと出かけるみたいなこと行ってたような気がするんですが。
とりあえずは年始の挨拶を済ませてから、





「鮮花さん、今日は黒桐さんと出かけるみたいなことを行ってませんでしたか?」





そうたずねると鮮花さんは相当機嫌悪そうに、





「幹也は式と出かけました。正月早々式にしてやられました」



「それは残念でしたね、それ伽藍の洞に顔を出したと、そういうことですか?」



「そうです、橙子師に教えを請おうと思ってきたんです。そうしたら藤乃たちも来ていて」



「そうですか、黄泉、あなたはなぜここに来ているんですか?」



「橙子さんから面白いものが見れるっていわれたから来たんです。ところで巫浄霧絵って人はお兄様の何なんですか?」



「何って友人ですかね。ちょっとしたきっかけで知り合ったんですよ」



「水城、兄妹で会話するのもいいが本題は忘れてないよな」



「分かってますよ。礼園で魔術的な事件が起こってるからそれを解決するために鮮花さんのサポートをしろっていうことですよね」



「そういうことだ。早速礼園の制服を試着してもらう。制服の着方が分からないんなら手伝うが。それにしても今日はずいぶん女っぽい服なんだな」



「手伝いは不要です。それくらいできます」





橙子師は鮮花さんにはまだ状況の説明をしていなかったようなので、説明をしている。
その間に僕は礼園の制服に着替えた。
はっきり言ってこれは屈辱だ。
橙子師の命でなければ、死んでもやりたくないことだ。
なお悪いことにセシルさんと霧絵さんまでいる。
藤乃さんと黄泉には、礼園で会うだろうから事前に説明する意味でもいいかもしれないけど。
それにしても皆さんは僕が女性に化けてるってまったく気づいてないようですね。
どうせならもっと女性的に化ければよかったかな、特に胸とか。
それはそれでなお屈辱的ではあるがまったく気づかれないのよりはましだったかも。





着替えを済まして、皆さんのいるところに戻った。
橙子師による説明も終わってるみたいだしちょうどいいタイミングだったかな。





「橙子師、サイズ的には問題ありません」



「ほかの面でも問題ないみたいだな。後は口調には気をつけろ」



「別に普段どおりで問題ないのでは」



「一人称が僕って言うのは女性としてはまずいだろう」



「そうですね、では一人称は私にしておきましょう」



「それにしてもすばらしい。私の見立てに間違えは無かった。式より薫の方が絵になるな」



「そうですね、よくお似合いです、お兄様、いやお姉さまって言うべきなんですよね、今は」



「実際礼園に行った時はそのほうがやりやすいでしょうからそれでかまいませんよ」





この後のことは語りたくないんだが橙子師が僕、いや私に着物を着せようとしたりと、私は女性人の着せ替え人形になってしまった。
同じ女性の体になってるってことで皆さん遠慮が無かった。
こんな体験二度としたくないな。






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