魔にして魔を狩る者
第十二話










冬休みに入ってから、橙子師のところに行くと必ずといってもいいほど黄泉がいるようになっていた。
礼園はよほどのことがないと外出すら許さないような学校なのにどうしたんだろう。
少し気になります。





「黄泉、あなたは休みに入ってから毎日ここにきているようですけど、よく外出が許されますね?」



「お兄様、いくらお父様との仲が悪いからといってたまには家に顔を出してください」



「質問な答えになっていませんよ」



「礼園の寮で小火騒ぎがあったので、自宅が近い人は帰るようにいわれているんです」



「小火とはおだやかではないですね」



「私としてはお父様やお母様とゆっくり話ができるからいいのです。ところで、お兄様は学校以外で普通の人に会っているんですか?」





そんな話をしていると橙子師まで会話に加わってきた。





「お前たちといい黒桐たちといいどうしてそんな会話をするかね、まあ私としては見ている分には面白いからいいが」



「何でいつもそういうところで私を話題に出すんですか?」



「まあまあ、鮮花も落ち着いて」





こんな調子で藤乃さんと鮮花さんまで会話に加わってきた。
遊びに出かけている黒桐さんと式さんが帰ってくれば、また大変なことになりそうではあるが今日は黒桐さんは休みの日だからそうならないけど。
そういえばセシルさんと黄泉はまだあったことがなかったな、今度紹介しておかないと。





「外野の人たちは邪魔しないでください、私の質問に答えてくださいお兄様」



「普通の人というのはどういう人のことを言うのか分かりませんが、浅上のおじさんとはよく話をする機会はありますよ」



「お兄様、それはどういうお話をされているんですか」





このタイミングでこんな話題を話した僕が悪いのは分かっているんですが、普通といえるような人では浅上のおじさんと話をする機会が最も多いんですよ。
浅上建設と水城グループの共同事業とかの話は僕を仲介役にしているみたいなところがあるんですから。
藤乃さんも顔を赤らめるなんて事は止めてほしいですけど、どんな会話を想像したんだか。
たとえそうだとしても読みにどうこう言う権利はないと思うのですが。





「何で黙っているんですか、私は鮮花ではないんですから、お兄様が誰と付き合っても文句は言いません」



「私ばかりを比較対象にしないでください」



「誰を比較対象にするかなんて身近であるほうが分かりやすいでしょう?それとも気づかれてないなんて思っていたの?」



「気づいていないというのなら黒桐さんだけは気づいていないようですよ、鮮花さん」



「だから幹也の件に関してからかうのは止めてくださいといっているんです」



「鮮花の話はここまでにして、私はお兄様が誰と付き合ってもかまいませんが、将来姉ということになる人がどんな人なのかは知りたいじゃないですか」



「こんな話題を振った僕が悪いんでしょうけど、浅上のおじさんとは仕事の話ばかりですよ」



「そうなんですか、薫さん」



「まあ、今の時期は浅上と水城の共同事業が大切な時期ですからね」




今日は取り留めのない話で終わったが何か今日の会話の中で気をつけなくてはならないような事象があった気がしてならない。
これが後々厄介なことを招かなければよいが






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