魔にして魔を狩る者
第十一話
冬木市から帰ってきた。
冬木ではあまりこれといった収穫はなかったけど、衛宮の跡継ぎと出会えたのはよかった。
彼はどうやら僕と同じで固有結界を使えるようになれるはずだ。
どんな固有結界なのか気になるが、それは発動するまでわからないな。
本人が気がついていないのだからしょうがない。
ぜひとも僕の手でその力を発揮できるようにしてあげたいな。
とりあえず伽藍の洞に顔を出すとしよう。
何か変わったことがあったようなことを聞いたので気になるし。
伽藍の洞にいってみると、珍しい人がいた。
僕の妹の黄泉が鮮花さんと藤乃さんと一緒にいたのだ。
後、式さんと霧絵さんもいる。
「お久しぶりです、何か変わったことがあったと聞きましたが何があったんですか?」
「そんなことよりお兄様、なぜこんなところに出入りしているんですか?」
僕が事情を聞こうとすると黄泉がかなり起こった顔で話に入ってきた。
彼女には魔術の存在は話しているので別に問題はないと思うのだが。
「ここのオーナーである橙子師が僕の魔術の師匠だからその手伝いのためですよ」
「その途中で藤乃とも仲良くなったと?」
「鮮花さんじゃないんですから、そういう発言はやめていただきたいものですね」
「そこでなぜ私が出てくるんですか?」
鮮花さんは自滅したいのでしょうか。
とはいえ黒桐さんは気づいていないようなのであえてその話をするのも面白くないですし、橙子師も止めろという視線を投げてきてますし。
まあ人をからかうのは悪趣味ですし。
「言うまでもないことですよ」
「鮮花の話はどうでもいいんです。それやってごまかさないでください」
「人の交友関係に口出ししないでください」
「妹さんに愛されているのね、水城君」
霧絵さんまで会話に混ざってきてしばらく僕がからかわれるという状況になった。
その後橙子師に何が起こったのかを聞くと、荒耶宗蓮という魔術師と戦ったのだと説明された。
鮮花さんの機嫌がなんか悪かったのは黒桐さんが怪我したからだったのか。
よほど強力な魔術師だったのなら僕も腕試しのために戦ってみたかったな。