魔にして魔を狩る者
第十話










水城家と浅上建設との共同で冬木市に高層マンションを作るという計画の視察という仕事を押し付けられて僕は冬木市に来た。
おそらく家の両親はこの地で行われる聖杯戦争に興味があるのだろう。
それについても調べて来いということも含んでいるのだろう。
このあたりは遠坂の管理地なのだから気づかれないようにしないと。





まずは前回の聖杯戦争の勝者である衛宮切嗣の家を訪ねてみよう。
彼はアインツベルンに行く前は水城と協力したことも幾度かあるらしいからそれを理由に訪ねてみるとしよう。
しかしあの魔術師殺しに関してはここ3年くらいうわさも聞いていないのが不思議だ。
もしかしたら死んでいるのかも。





衛宮邸を訪れてみると簡易結界といえる物があるだけだった。
こんなものでは敵の来訪を知らせることしかできないだろう。
とりあえず僕には敵意がないので反応しないようだ。
呼び鈴を鳴らすと中学生から高校生くらいの少年が出てきた。





「すいません、衛宮切嗣氏はご在宅でしょうか?」



「あなたは誰ですか?」





ちょっと会話をしているうちに魔眼で見てみると彼は魔術師のようだ。
しかも僕と同じで特殊な才を持った。
これ以上は会話に差し支えるからまた後にしよう。





「僕は水城薫といいます、切嗣氏と父が親交があったのでこちらに来る用事のついでに立ち寄ったのですが」



「そうですか、親父は3年ほど前に死にました」



「それは残念です、いろいろ聞いてみたいことがあったのですが」



「親父とはどういう親交があったんですか?」



「あなたと同じで魔術師だったのでそのつながりですよ。そういえばあなたの名前を伺ってもいいですか?」



「俺は衛宮士郎。あんたも魔術師なのか」



「まあ、そんなところですよ。ところであなたは今誰かに師事しているんですか?」



「いや、独学みたいなものだけど」



「そうですか、もし気が向いたらここに来なさい。僕が魔術を教えてあげましょう」





そういって僕は自分の家の住所を書いた紙を渡した。
今回のこの会合は後々何か役に立つかもしれないな。
あの悪名高き衛宮の跡継ぎと縁があるのはいいことだろう。





その後いろいろと調べたのだが聖杯戦争については詳しく知ることはできなかった。
とりあえず今回はこれでよしとしよう。
衛宮君が僕の弟子になればもっと詳しいことも知れるかもしれないし。






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