影月の書
第八日目







戦いが終わってから一晩経った。
もっとも一晩といってもほんの二、三時間しか経ってはいないのだけれども。
ロード・オブ・ナイトメア様たちはこれから魔界に帰られるようなので僕はそのお見送りをしなければならない。



ご主人たちが起きて食事を取られて、ご主人は登校なされた。
それを見た刹鬼が話しかけてきた。


「おい、MAGIU。楊ゼンが学校とやらに行く意味はあるのか?」


「特にこれといった意味はないでしょうけれど、ご主人のお戯れですよ」


「そうか、暇つぶしということだな」


「そうなるでしょうね」


「あなたたちは今日のうちに魔界に帰るのですよね?」


「そうなるな。別に人間界にいる意味もないしな」


「そうですね」



意味ですか。僕が生きている意味はなんなのでしょうか?
別にご主人にお手伝いする人が不足していたというわけではないですし、気になりますね。
でもご主人に直接お尋ねするのは憚られるのでこれは自分で考えるべきなのでしょうね。
そのようなことを考えているとロード・オブ・ナイトメア様が話しかけてこられた。


「MAGIU、楊ゼンのことを頼みますよ」


「分かっております。ご主人はたいていのことは問題なくこなされるので僕ごときガ心配する必要もありませんよ。」


「それもそうね」


「ロード・オブ・ナイトメア様のほうが魔界で大変なのではないですか?」


「そうね、じゃあ早く魔界に戻ってくるように言っといてよ」


「承知しました」


ロード・オブ・ナイトメア様は本当にご主人を心配されておられるようだ。
ご主人もロード・オブ・ナイトメア様のような部下を持っておられることを誇りに思っておられるだろう。



そうしてほかの皆とも別れの言葉を告げた後、皆様帰っていかれた。
これですべてが終わったのだろう。
これからは代わり映えのない日々が続いていくだろう。
ご主人は後どれくらいの間人間界におられるのだろうか。
このようなことを考えることが出来るのもすべてが終わったからだろうか。



こうして後は代わり映えのない一日が終わった。






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