影月の書
第七日目
その三







〜式神の映像記録〜





各勢力のNO.2の戦いが始まった。
まず先手を取ったのはロード・オブ・ナイトメアだった。
彼女は妲己の周りの空間に虚無を作り出し、それが元に戻ろうとする作用を利用して、妲己の動きを封じ攻撃を仕掛けた。
妲己は攻撃をかわすことはできなかったが、ロード・オブ・ナイトメアに反撃の一撃を加えた。
ロード・オブナイトメアもその攻撃によってダメージを受けたがそれは妲己の受けたものに比べてはるかに低かった。


「妲己、どうしたの?そんな攻撃じゃあ私にはたいしたダメージは与えられないわよ」


「そうね〜ん、でも大丈夫よ〜ん」


「どういうことよ?」


「馬鹿が、油断しすぎだ」


ナタクがそういって、油断しきったロード・オブナイトメアの後頭部に打撃を与えた。
それに気付けなかったロード・オブ・ナイトメアは気絶した。


「ふぅ、情けない。遊びとはいえまじめにやらないと意味が無いだろうに」


「それは同感ね〜ん」


「もうこの勝負の決着は見えているな」


ナタクは退屈そうに言った。
たしかに無傷のナタクと傷を折った妲己では勝負は見えているだろう。
しかしもしもということもありうるのではないだろうか。


「そうね〜ん、でもこのままでは終わらないわよ〜ん」


「なら、俺を楽しませてみせろよ」


ナタクと妲己の戦いが始まった。
妲己は負けをすでに覚悟しているのだろう、攻撃だけに集中していた。
ナタクはその妲己の攻撃を気に入ったのだろう、楽しそうに笑いながら彼女の攻撃をかわしていた。
ナタクはいくらか攻撃をかわしきれずに少し傷を負った。


「そうこなくっちゃ面白くないな。次はこちらから行くぞ」


妲己はナタクの猛攻をしのぎきれず多くの傷を負った。
それでも妲己はナタクに反撃を加えようとした。しかし彼はそれを許さずに妲己を気絶させた。


「これで終わりだな」


妲己とナタクの戦いはナタクの勝利に終わった。






〜式神の映像記録中断〜





ロード・オブ・ナイトメア様も油断しすぎではないのだろうか。
これで僕が勝った分は帳消しですね。
最も次に女カが勝てば話は別でしょうけど。
果てさて次はどうなることやら。


「つまらない戦いだな、刹鬼たちの戦いのほうがましだったぞ」

「そうだな、じゃあさっさと次をはじめるか」


「そうじゃのぅ」





〜式神の映像記録〜





魔界のトップクラスの三人の戦いが始まった。
彼ら三人の戦いは映像に納めるのが難しいぐらいめまぐるしい速さで戦況が変化している。
雷禅が楊ゼンに攻撃を仕掛けた直後に女カが雷禅に攻撃を仕掛け、
その間に回復した楊ゼンが女カに攻撃を仕掛けるといった具合である。
この勝負は誰が勝ってもおかしくない。
まったく先が読めない戦いなのでちょっとしたことでも負けにつながるだろう。


「ふぅ、この戦いはしんどいですね」


「そうか、面白い戦いだと思うがな」


「これも一興よのぅ」


三者三様のせりふを口にしながらも戦い自体はまったく止まっていない。
この戦いは誰かが止まった瞬間が大きな分岐点になるだろう。



しばらく戦いは続き、女カと楊ゼンが同時に雷禅に攻撃を仕掛けたようだ。
さすがの雷禅も攻撃をかわすことができずに一瞬動きが止まった。
その隙を見逃さなかった楊ゼンが追撃を加えて雷禅は気絶した。


「ふぅ、何とか雷禅は倒せましたか」


「さてさて、これでわらわの勝ちは決まったようなものじゃのぅ」


「言ってくれますね〜」


「ではいくぞぇ」


女カと楊ゼンの攻防が始まった。
お互いに牽制し合いながら決定的な隙を探しているようだ。
徐々に楊ゼンが押され始めた。
流れは完全に女カのほうに向いた。
しばらくして、楊ゼンは女カの攻撃をしのぎきれなくなって気絶した。


「結局それぞれ一勝で引き分けということかのぅ」


戦いは終了した。





〜式神の映像記録終了〜





結局この結末が一番よかったのかもしれませんね。
さて今日はこれくらいにしておきますか。疲れましたしね。






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