Fate/stay night
変わる運命
第十一話








アーチャーとの戦いは最初から結果はわかっているのだから如何に早く倒すかそれだけが重要になる。
毎度毎度同じ手を使ってくるアーチャーにはあきれるほかない。
こちらも宝具を出すとしましょう。





「アーチャー、一応聞いておきますが、引く気はありませんか?」



「なぜ我が引かねばならぬのか、古代王」



「さすがですね、この宝具を見ただけでそれと気づくとは。贋作とはいえ同じものを持っているからですか」



「その真作は我が持ってこそ意味がある。疾くと献上せよ」



「ずいぶんなことをいいますね、扱いきれないような武器を持っても意味がないでしょう」



「我は世界の王ぞ、その我が献上せよといっておるのだ、疾くと献上せよ」



「やっとあなたの正体がわかりましたよ、英雄王。ほしければ力ずくで奪えばいいでしょう」





英雄王ならば有史以後のありとあらゆる宝具の原点を所持していてもおかしくない。
とはいえそれらの宝具など何の意味もなしませんが。
さっきの言葉に刺激されたのかアーチャーは次から次へと宝具を射出してくるが、僕の鎧を超えることはできていない。
はっきり言って相性が悪すぎる。
僕とてこの状態でもバーサーカーと殺しあえば無傷ではすまないかもしれないが、英雄王になら無傷で勝てる。
この僕に対しては数など無意味なのだ。
セイバーや小次郎のような洗礼された一撃かバーサーカーのような理不尽な暴力でなければ、僕は傷を負わない。
これは宝具の真名を開放しなくてもすむかな。
こちらがそんなことを考えているうちにアーチャーは歪な形の剣を取り出した。





「起きろ、エア、出番だ」





あれがアーチャーの真の宝具なのだろう。
ほかの有象無象とは比べ物にならない。
そんなものを出すならこちらもそれ相応の覚悟でなくては。





「これで死ね、天地乖離す開闢の星」



「いきますよ、運命切り開く究極の剣」





お互いの宝具がぶつかり合った。
規格外の宝具同士のぶつかり合いは運命切り開く究極の剣の勝ちだった。
使い手の技量の差が大きかったのだろう。
そうでなければ僕も手傷を負っていたかもしれない。





「まさか天地乖離す開闢の星が及ばぬとは、手に入らぬからこそ美しいものもあるか」



「見事ですよ、英雄王。僕の宝具を受けて少しとはいえ生きているとは」



「なかなかに楽しかったぞ、古代王」





そう言い残して英雄王は散った。
その散り際はさすがとしか言いようがない。
キングのほうはどうなったかな。
そして僕は高校生の姿に戻った。






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