Fate/stay night
変わる運命
第八話







今日からは全員で見回りに出ることにした。
キャスターにあたりにサーヴァントの気配がないかを確認させながらなので今までよりも効率よく探索できるはずだ。
できればランサーを見つけたい。
今日は新都のほうに行ってみよう。





「キャスター、ランサーの気配は見つけられましたか?」



「どうやら新都のほうにいるみたいです」





ビンゴか。
それならば今晩中にランサーをしとめなくては。
せっかく見つけたのに取り逃がしたでは洒落にならないからな。





「では詳しい位置を探れますか?」



「大丈夫ですわ、マスター」



「そうか」





これでランサーと戦える、こちらにこれだけ戦力があれば負けることはないだろうが、誰が戦うかが問題だな。
キングも小次郎も戦いたがっているしな。
そういうことは道中で決めてしまおう。





「キング、小次郎、これからランサーと戦うわけですがどちらかが戦いますか?それとも二人で協力しますか?」



「聞くまでもないことだ、我が戦うに決まっている」



「今回は私に戦わせてもらいたいものだな。ライダーのときはおぬしが戦ったであろう」



「仕方ない、今回は譲ってやろう。だがバーサーカーは我が殺す」



「承知」





ランサーとは小次郎が戦うことになった。
その代わり明日か明後日のバーサーカー戦はキングメインで戦うことになる。
そうこうしている内にランサーのいる場所にたどり着いた。
その場所は言峰教会だった。
あの神父さんは監視役でありながら聖杯戦争に参加していたようですね。
とりあえず言峰教会に入ることにする。
教会に入るとすぐに神父さんが待っていた。





「こんばんは、神父さん」



「こんなにサーヴァントを引き連れて何か用かな、春日隼人」



「よくもまあぬけぬけとそんなことが言えるものです。監督役でありながらサーヴァントを保有しているとは」



「ほぅ、気づいたのか。キャスターに探らせたか?」



「ずいぶん余裕といった感じですね。この戦力差を覆す何かがあるとでもいうのですか?」



「来いランサー、アーチャー」





そのせりふとともに二体のサーヴァントが現れた。
まさか言峰も二対のサーヴァントを保有していたとは。





「キングはアーチャーを小次郎はランサーを抑えなさい」



「言われるまでもないわ」



「承知」





ランサーとアーチャーとやらは初見のようだ。
お互い何か文句をいっているようだが、一対一が二ヶ所で行われるということになったようだ。
小次郎とランサーの戦いはランサーの点で攻める突きを小次郎が剣で円軌道で迎撃しているにもかかわらず、
すべての突きを迎撃し、さらに反撃までしている。
小次郎の剣は信じられない速さだ、ランサーの突きも破格に速いと言うのに。
アーチャーと矢ばれているサーヴァント(これはおそらく言峰が使役していた、前回のアーチャーなのだろう)とキングの戦いは、
キングの宝具である王を守る兵団とアーチャーが無尽蔵に射出する宝具の軍団による擬似的な戦争になっている。
もうこの教会は使い物にならないだろう。
それと周りに誰もいないとはいえ、結界ぐらい張っておかないとまずいな。
そして言峰だが、彼は戦いを静観している、僕も戦うつもりはないのでちょうどいい。
とりあえずどちらかの決着がついたら今日はよしとしよう。





「神父さん、あなたはどういうつもりで聖杯戦争に参加しているのです?
それにあんなサーヴァントを維持するには尋常じゃない魔力がいるはずです」



「第一の質問の答えは聖杯にふさわしい持ち主を選定するためだ。
第二の質問には答えるつもりはない」



「聖杯にふさわしい持ち主がいないと判断したらどうするつもりですか?」



「そのときは私が聖杯に願おう」



「そうですか」





これ以上の会話はおそらく無意味だろうと思い会話を打ち切った。
キングとアーチャーの戦争はおそらくどちらかの軍が尽きるまで終わることがない程に拮抗している。
アーチャーが放つ宝具をキングの兵が二、三人がかりで止める、ということがさまざまな場所で起こっている。
つまり、今のところ数だけはキングの兵が多いということだ。
とはいえ後一時間以内には決着はつかないのではないかと思う。
一方ランサーと小次郎の戦いは最終局面に向かって動き始めたようだ。
お互いこれ以上の攻防は無意味であると判断したのだろう、互いに必殺の一撃を放つようだ。





「刺し穿つ死棘の槍」



「燕返し」





小次郎とランサーの攻撃は小次郎の勝ちという形で終わった。
ランサーの槍は小次郎が同時に繰り出した三つの斬撃の二つによって受け止められ、
わずかに遅れた残りの一撃でランサーの胴体が両断された。
ランサーは悔しそうな顔をしているが小次郎に対して負の感情は抱いていないようだ。





「楽しかったぜ。また機会があったら殺しあおう」



「ふむ、実によい立会いであった。生前果たせなんだ戦いができた、感謝する」





小次郎の感謝の言葉を聴きながらランサーは消えていった。
さすがはアイルランドの光の御子、いい散り様だ。
とりあえず今日はここまでにしておこう。





「キング、今日のところはこれまでにしますよ。ここですべてを出し切るわけにはいきませんしね。
そういうわけで神父さん、前回のアーチャーさん、またお会いしましょう」





僕は光を生み出し、目くらましにした。
その隙に撤退した。
今回はこちらの勝ちというところですね。
それにしてもあのサーヴァントについては少し手を打たなければならないでしょう。






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