Fate/stay night
変わる運命
第七話








衛宮君たちと戦った次の日、今日も普通に学校生活があった。
遠坂さんも衛宮君も間桐さんもこれといったことをすることもなく平凡な一日が過ぎていく。
やはり天下泰平というのはすばらしいことだ。
というか間桐さんと遠坂さんは別な方面で戦いになるのではと思わなくもないのだが。
そんなことを考えながら帰宅していると、



「マスター、平穏に浸るのもいいが今は戦時中だぞ」



とのキングの言葉とライダーの登場によって平穏は終わりを告げた。
ライダーのほうは戦う気はなさそうだと思ったのだがどういう風の吹き回しだろうか。
それはキングも気になっているのだろう、いまだに戦闘にはなっていない。
だからこれは僕から切り出すべき話題なのだろう。



「ライダーさん、何のようですか?戦いたいというなら受けますが」



「そういうわけではありません、条件の確認に来ただけです。サクラの方針のために私たちはシロウと組むことになったわけですが」



そういうことか、確かにライダーさんは僕たちの敵になったというわけだから条件がどうなるかの確認のためにこうしてきたというわけですか。



「そんなことは関係ありませんよ、僕たちは間桐さんとあなたが直接僕たちに戦闘を仕掛けない限りあなた方とは戦いませんから。ですからご心配なく」



それを聞いてライダーさんは安心しているようだ。
確かに僕は戦いたくないと入ったけれど戦えないとまでは言っていないのだ。
すなわち事の次第によっては僕個人が剣を振るうこともありえるということなのだ。
僕のことを知っているライダーさんがそれを警戒するのは当然のことだ。
そういえば一つ言っておきたいことがあった。



「ライダーさん、一つ約束していただけないでしょうか?」



「何ですか?」



「僕の正体について衛宮君たちには話してほしくないのです」



「分かりました。サクラにもそう伝えておきましょう」



ライダーさんは最初は不審に思っていたが僕の言ったことを理解してくれたようだ。
僕の正体が知れるといろいろ厄介なことになる。
せめてこの聖杯戦争が終わるまでは隠しておきたい。
だから出来るだけ早く聖杯戦争を終結させなくては。



「いいのか、マスター。ライダーを放って置いて」



そんなキングの言葉にも、



「いいのですよ、それよりもさっさとランサーとバーサーカーを倒すとしましょう。衛宮君も当分は動かないでしょうから」



とすんなり返事が出来た。



「それはどういう意味かなマスター?今でも十分急ぎ足のような気がするが」



その気持ちは分からなくもない。
まだ聖杯戦争が始まってから一週間も経っていないのだ。
だけど僕の招待をこの聖杯戦争中だけでも隠し切るなら出来れば一週間以内に終わらせたいのだ。
遠坂さんもセイバーも僕の情報を手に入れようと躍起になるでしょうから。
だから僕は遠坂さんたちがその情報を手に入れるまでに聖杯戦争に勝たなくてはならない。
僕の情報を衛宮君たちが知ったなら僕は戦わなくてはならなくなる。
それではいろいろと問題があるのだ。
だから僕は、



「明日からしばらく学校も休みます。出来れば月曜日までに聖杯戦争に終止符を打ちたいのです」



「了解した。やっとマスターも重い腰を上げたか?」



「僕個人が戦いたくないから決着を急ぐのです。衛宮君たちに僕のことが知れれば僕に対する攻撃もあるでしょう。
遠坂さんのガントくらいなら問題ないですが、それ以上となると僕も戦わざるを得なくなりますから」



「それくらいのことは先のライダーの会話から察している。となるとランサーとバーサーカーどちらを先に倒す?」



「それは家に帰ってから考えましょう」



「了解だ」



ここから先は戦うものとしての顔が表に出ることになる。
学校をサボることに対しては多少思うこともあるが仕方ない。
明日の朝、風邪でしばらく休むと連絡をしておくことにしよう。





そして家に帰り今日のことを小次郎とキャスターに話した。
そしてこれからのことを話し合うことになった。
まずは僕の意見から出すべきだろう。



「これからも夜の見回りは続けていきます。しかしこれからは全員でそれを行います。キャスターには近くのマスターあるいはサーヴァントの察知をやってもらいます」



「分かりました、マスター。それで昼間は何をなされるおつもりですか?」



そうキャスターが聞いてきたので、



「昼間はマスター探しを僕とキャスターの魔術で行います。その情報を元に夜は行動します」



「それでは見回りというよりは打って出るというのではないかマスター?」



という小次郎の意見に対して僕は、



「もちろん敵の位置が分かればその夜には打って出るということです、しかし敵マスターの位置が分からなくても見回りはするということですよ」



こう答えた。これまでは多少受身的なところもあったがこれからは完全に攻めていく。
ある意味制限時間付きの戦いになってしまったいじょうこれしか方法がないのだ。
この方法でいくからには昼間のうちにマスターの居場所を知ることが出来るかどうかが大事だ。
夜の見回りなんてついでのようなものでしかないのだから。






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