Fate/stay night
変わる運命
第五話








マキリ臓硯との戦いから一晩たち次の日の朝になった。
臓硯に対する対処のために魂を昇華させる道具と運命切り裂く究極の剣をすぐに取り出せるようにしておこう。
この二つならたとえ臓硯の魂の核がほかの場所にあったとしても確実にしとめることが出来る。
とはいえ今日は学校があるのでそちらにいかなくては。
あの結界が間桐君の仕掛けたものだとしたらそろそろ発動するかもしれないし。





朝ごはんを食べてから小次郎を霊体化させて連れて学校に向かった。
今日も朝錬には間桐君は来ていない。
まあ当然だろう。
しばらく練習していると間桐さんが来た。
一応魔術関係には関わってはいないと思うけど確認してみなくては。





その結果はこちらが予測していたものと違っていた。
間桐さんはマスターの一人だ。
それならやるべきことは一つだ。





僕は間桐さんを呼び出すことにした。
今はまだ割りと早い時間だということが幸いして話をする時間は十分にある。
とりあえず聞けることはすべて聞いておかなくては。
そう考えていると間桐さんが来た。



「春日先輩、何か御用ですか?」



「間桐さん、聖杯戦争は知っていますよね?」



この質問は予想していなかったのだろう、間桐さんは驚いた表情になった。
そうしてその表情を変えることなく質問してきた。



「どこでそれをお知りになったのですか?」



「僕も参加者の一人ですし、昨日間桐君とも戦いましたし。」



「そうですか」



間桐さんは納得がいったようだ。
さてこれからが本題だ。
これだけは聞いておかないと。



「間桐さん、あなたはライダーのマスターですね?」



そういうことなら納得がいくのだ。
間桐さんには魔術回路があることはさっき分かった。
しかも体がいろいろいじられている形跡もあったのでほかの家から間桐に養子になったのだろう。
だからマスターの一人であることが出来る。
さっきの質問に対して間桐さんは戸惑いを隠せないような様子で返事をした。



「どうしてお気づきなったのかは知りませんがその通りです。私がライダーの本来のマスターです」



今になって気づいたのだが間桐さんはいつもより少し好戦的になっているようだ。
何があったのだろうか。
おそらく衛宮君のことだろうということは分かるのだが。
間桐さんは続けてこう提案してきた。



「春日先輩協力して遠坂先輩を倒しませんか?」


と。



「え!!」



間桐さんの口からとても間桐さんがいうようではないせりふが出た。
しかしそれで何が起こったのか大体分かった。
衛宮君は遠坂さんと組むことにしたのだろう。
僕の戦力等を考えればそれは正しい選択なのだろう。
アーチャーとセイバーと同時に戦闘するとしたらこちらも負ける可能性は高いだろう。
それなら間桐さんと組むのもいいけれど、間桐さんの体が臓硯の自由になるとしたらそれを治療してからでないと。



「予想外の質問ですがその質問の答えは是として言ってきましょう。ただし今日の放課後部活が終わってからうちに来て頂けませんか?」



「分かりました。それでは今日の放課後伺います」



間桐さんは家も知っているし家なら間桐さんの治療も出来るだろう。
とりあえず小次郎にその旨をキングたちに伝えてくるように言ってから朝錬を再開した。





その後何事もなく学校が終わり部活が終わり放課後になった。
僕は間桐さんと一緒に家へ帰った。
帰っている途中にライダーが現れた。
間桐さんはライダーに今朝のことを説明した。
その後ライダーは僕に質問してきた。



「ハヤトと言いましたか、なぜサクラを自分の陣地に入れるのですか?」



「間桐さんの体はいろいろいじられているようですのでその治療のためですよ。間桐さんとは部活も一緒だったのに体がいじられていることに気づかないとは不覚でした」



僕はもちろんそう答えた。
同盟を組むのならこちらの手札が知られるのは当然ではあるが、それを臓硯に知られるわけにはいかないのだ。
臓硯は絶対に敵なのだから。
ライダーはそれに対してこう返答した。



「確かにサクラの異常に気づかなかったのはあなたの罪です。その償いをしようというわけですか?」



「それだけではありませんがそれも確かにあります。魔術師なら臓硯のような外道の魔術師の被害者を減らすようにしなければならないのです」



こういえばライダーさんなら気づいてくれるだろう。
さすがに直接的な表現をするのは憚られる事なのだから。
今すぐにでも臓硯が仕掛けたものが発動するかもしれないし。





そうして家に着き、僕は間桐さんの治療を始めた。
これまた予想外のことに間桐さんの心臓のすぐそばに臓硯の核があった。
並みの魔術師ならそれを取り除くことは不可能だろうが僕にとってはどうということはない。
そのほかには刻印虫が間桐さんの神経とほとんど一体化しているようになっていたが、それも完全に治した。
これでやっとこちらの札を見せることが出来る。
とりあえずはサーヴァントを三人とも呼んだ。
それに関してはライダーも間桐さんも驚愕しているようだ。



「驚いているところ悪いですがこれからどうするつもりなのか話をしませんか?」



それに対して割と早く復帰したライダーさんが提案してきた。



「これだけサーヴァントがいるのです力ずくでも勝てるのではないですか?それにあなたに関しても見覚えがあるような気がします」



ライダーさんのことをよく見ていると大事なことに気づいた。
ライダーはギリシャ神話の怪物メデューサだということに。
確かに僕は幾度目かの転生の時に形なき島に訪れたことがあった。
あそこに行って生きて帰ったのは僕かペルセウスくらいのものだろう。
それなら覚えているのは当然かもしれない、僕は忘れていたけど。
僕は転生を繰り返しているから何人も英雄には会ったことがあるのだ。
だから直接聞いてみることにした。



「あなたはゴルゴン三姉妹のメデューサですか?」



「やはりあなたはアトランティスの古代王でしたか」



ライダーのせりふに対してサクラさんが質問をした。
これは当然のことだろう。



「ライダーどういうことなの説明して」



ライダーさんは僕について間桐さんに説明した後僕に質問してきた。



「古代王、あなたの実力があれば聖杯戦争に勝ち抜くくらい容易い筈です。なのになぜ早く聖杯戦争を終わらせないのですか?」



「僕自身の個人的な事情ですよ、この肉体は完全に成長しきっていないので以前の感覚で戦うと自滅してしまうのですよ。だから僕自身が戦うのは自重しているのです」



これ以外にも事情はあるがこれが一番の理由だ。
僕自身の力でこの肉体を無理やり成長させることも出来るがそれではこの肉体の寿命に近づくことになる。
そうなっては意味がない。
その後はお互いが知っている情報交換をすることになった。
間桐さんに僕のサーヴァンの真名なども話したがそれはもはや問題ではない。
後はランサーとアインツベルンのサーヴァントについてだが、それらについては情報は得られなかった。
その代わり学校の結界は解除してもらった。
アレがあるとセイバーとアーチャーを挑発することになるからだ。
確かにそれも一つのてのだろうけど、やはり衛宮君たちとは正々堂々と戦いたいのだ。
間桐さんもライダーさんも聖杯に興味が内容なので遠坂さんを倒した後はもう戦わないそうだ。
これでライダーさんとのことがひとまず決着がついた。
次は衛宮君たちとの戦いだ。
これは海岸の公園に衛宮君たちをおびき出すということになった。
衛宮君の対魔力が低いからこそ出来ることだ。
決行は明晩ということでお互いに今日のところは別れた。






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