遠坂さんに気づいたようですし話を進めないといけませんね。
衛宮君にいたっては何も理解していないようですし。
「と、遠坂!」
やはり衛宮君は素人同然ですね。
「こんばんは、衛宮君、春日君」
「こんばんは、遠坂さん」
「ちょっとどういうことだよ」
「衛宮君たちは何も理解していないのね」
遠坂さんは呆れている様だ。
でも僕もある意味理解しきれない状態にあるのですけど。
セイバーのサーバントが同時に二人、しかも別々のマスターで召喚されるとは思ってもみませんでしたし。
「遠坂も魔術師なのか?」
「そうよ、衛宮君。もっとも春日君はもっと早く理解していたようだけど」
「だってさっき校庭で戦いをしていたときに遠坂さんもいたではないですか」
「よく見えたわね」
「視力はいいほうなんですよ」
「あなたたちは何に巻き込まれたかも解かってないんでしょう?」
「僕は多少は理解していますけど」
「俺はさっぱりだ」
「じゃあ、説明してあげるから入るわよ」
「何と唯我独尊的な」
「何か言ったかしら」
「まるで暴君だといったのですよ、遠坂さん」
「それについての弁明は後で聞くわ」
そういって遠坂さんは居間の方へ入っていった。
まさに暴君という言い方は言い得て妙だと思った。
僕たちもついていかなくては。
そうして居間で会話が始まった。
「これはどういうイレギュラーなのかしら?」
「何が言いたいんだ、遠坂?」
「すなわち聖杯戦争でクラスの重複はありえないはずなのにどうしてそれが起こっているのかと聞いているんじゃないですか」
「そうよ」
「ちょっと待て。そもそも聖杯戦争って何だ?」
「衛宮君そんな事も知らなかったの?」
「予想以上の素人ですね」
「俺だって強化の魔術ぐらい使えるぞ」
「それ以外はてんでだめなのでしょう?」
「そうだけど」
「じゃあ、隼人はどういう魔術が使えるんだ?」
「ほかのマスターに自分の魔術を知られるのは得策とはいえませんが、僕が使うのは治癒の魔術ですよ」
「遠坂は?」
「答える義務なんてないでしょう」
「それもそうだな」
「ところで衛宮君は何も知らないのね」
このまま話が続いて後で僕がキャスターのマスターだとばれるとまずいからキャスターも呼んでおく必要がありますね。
「ここにいるのはみな魔術師とそのサーヴァントなのですから魔力を隠す必要もありませんよね」
「そうね」
そういって僕は魔力を解放した。
すぐにキャスターと小次郎が来た。
それに気づいた遠坂さんはたいそうご立腹のようだ。
「へぇ、春日君はもう聖杯戦争のマスターだったんだ」
「まあそうですけど」
「マスター事態を説明していただけませんか?」
「とりあえず僕はもう一体サーヴァントを使役しているということで」
「まあ、マスターの魔力なら問題ないでしょうし、私も聖杯を求めているわけではないですし」
「ところで二人のセイバーはどう呼べばいいんだい?」
「私がセイバーということで」
「では、われはキングとでも呼ぶがいい。それでかまわぬな、騎士王?」
「かまいません、ライダー」
「ちょっと待って。今、ライダーって言ったわよね?」
「私は前回の聖杯戦争の記憶も持っています」
「そんなことってありなの?」
「マスター、これはどう理解すればいいのでしょうか?」
「特殊な例外とでも思っていればいいのではないですか」
「そうですね」
「ところで春日君はもう教会に入ったのかしら?」
「行ってないですよ」
「じゃあ、行くわよ。衛宮君も準備して」
「ちょっと待てよ、教会って?」
「教会には聖杯戦争の監督者がいるのよ、詳しいことはそこで聞きなさい」
「遠坂が説明するんじゃないのか?」
「イレギュラーばっかりで説明しきれないのよ」
「ここまで例外ばかり起こると、もう何が来ても驚きませんね」
「そうね」
こうして僕たちは教会に向かった。