新世紀エヴァンゲリオン
交錯する時間
プロローグ
僕の名前は三笠大和、今年で14歳になる天才科学者だ。
たった今完成したばかりのロボットは世紀の発明になるだろう。
そこで、僕の作ったロボットについて説明させていただく。
僕の作ったロボットの名前は月読といい、動力炉は空間断絶エンジンというものだ。
空間断絶エンジンというのは、空間の切り離し、その空間が元に戻ろうとするエネルギーを取り出すもので、半永久機関である。
これだけでも十分すごいのだが、月読には神威という人工頭脳が搭載されている。
この神威がいかにすごいかというと、神威は自分で考えるのはもちろん自分の意思を話すことができるのだ。
今までのどんな人工頭脳でも自立して会話をするということはできなかったのだ。
しかも神威には時空跳躍システムが備わっているのだ。
このシステムを使えば、時間移動や空間移動はおろか、別の世界にさえ行くことができるのだ。
しかもこのシステムを使うことによって、体は子供、頭脳は大人というように体を若返らせることもできるのだ。
ただし、そこに同じ人物が二人いてはならないという制約でもしそこに自分がいた場合もとの自分は消えてしまうが。
説明が長くなってしまったようだが、これより月読の起動実験を開始する。
『メインシステム起動』
『サブシステム起動』
『オールシステムグリーン』
『月読、起動します』
「さてと、ついにここまで来たか」
『はじめまして、マスター』
「ああ、はじめまして、神威」
『本日の起動実験では何をなされるおつもりですか?』
「そうだな、まずは空間移動を試してみるか」
『目標地点を打ち込んでください』
神威の欠点はこれなのだ。
目標地点の座標はかなり複雑なため、それの計算をさせるといくら神威といえどショートしてしまうのだ。
だから、僕自身で座標の計算はしないといけないのだ。
いくら機械が進歩したといっても、人間の脳には及ばないのだ。
さて、座標の打ち込みも終わったし、空間移動を開始しますか。
『目標座標確認、これより時空跳躍を開始します』
ふぅ、これでひと段落だな。
どうやら空間移動が終わったようだ。
ちょっと外の様子でも見てみますか。
おや、ここはどこでしょう。知らない場所のようですね。
まあ、面白そうだから探検してみようかな。
「神威、このあたりの空気は人が住めるものか?」
『はい、酸素濃度等は地球上とほぼ同じようです』
「そうか、座標を打ち間違えて別の世界の地球に来たのかもしれないな。
神威、調べてくれないか?」
『了解しました、マスター』
さて、それにしてのこんなに生物がすみやすそうな環境でありながら、あたりに生物の存在が認められないのはどうしてだろう。
それにあの赤い海は何なんだ。
『マスター、調査結果が出ました』
「で、どうなんだ?ここは地球なのか?」
『地中の鉱石等の分布やその他の条件から見てもここが地球である可能性は90%以上です』
「そうか、じゃあこの辺を探索してみよう」
『マスター、5キロ先に生命反応がありますが、どうなされますか?』
「やはり、生き物が存在していたのか。よしそこにいってみよう」
『了解しました』
生命反応があった地点に近づいてきた。
ほかに反応がないので、どうやら先ほどの反応は単体の生物のようだ。
しかし周囲に何もないのにその生き物はどうやって生きているのだろう。
それに言葉を理解することができるのだろうか。
『マスター、先ほどの反応は人間のようです』
「人間だと、そんなことがあるはずがない!」
『しかし事実です』
「そうか。ということはほかの人間もどこかにいるだろうな」
『おそらくそうだと思われますが、周囲に生命反応はありません』
「そうか、まあとりあえず少しはなれたところに着陸してくれ」
『了解です』
とりあえず僕はそこにいる人のところに行って、話しかけてみることにした。
日本人のようなので日本語で話しかけた。
「はじめまして」
「ああ、はじめまして。
よかった僕以外にも生き残った人が居たんだね」
「残念ながら、僕は生き残りというわけではありません。
僕は別のところから来たんです。ところで今年は西暦何年ですか?」
「2016年だよ」
「ということは間違えなく僕は別の世界に来たようですね」
「どういうことなんだよ、説明してよ」
「僕が来た時代は2645年ですし、2016年にこんな事件があったとは記録されていませんから」
「そうなんだ、じゃあやっぱり僕以外はみんな死んでしまったんだ」
「次は僕が質問させていただいてよろしいですか?」
「別にいいよ」
「おっと、その前に自己紹介がまだでしたね。
僕は三笠大和、14歳です」
「僕は碇シンジ、15歳だよ」
「そうですか、ではシンジ君と呼ばせてもらっていいですか」
「いいよ、僕も大和君と呼んでもいいかな」
「かまいません。ところで質問を再開してもいいですか?」
「ああ、いいよ。どうせどうしてこうなったのかが聞きたいんだろう?」
「ええ、まあそうですが、話したくないというのなら別にいいですけど」
「別にいいよ。どうせ話し相手もいなかったんだから」
「それでは話してくれますか?」
「少し長くなるけどいいかい?」
「別にいいですよ」
「じゃあ、話を始めるね」
僕はじばらくシンジ君の話に耳を傾けた。
その話はとてもひどいものだった。
自分の妻に会いたいがためにすべてを犠牲にしようとする男、
神になろうとして、すべての生き物を殺した老人たち、
復讐の為だけに家族も同然の人を犠牲にしようとする女性、
自分の優位を認めさせようとして、自分を認めないものすべてを否定した少女、
ほかにも多くの人の醜い部分が語られていた。
僕はシンジ君に提案してみることにした。
「シンジ君、もしもう一度やり直せるとした、どうしたいですか?」
「サードインパクトを防ぎたい」
「まあ、そう答えると思っていましたが、それは大変困難なことですよ」
「ねぇ、大和君。君の話を聞いていると、
まるでもう一度やり直せるみたいなことを言っているように聞こえるんだけど?」
「そうですね、確かにもう一度やり直すことも不可能ではありませんが、条件があります」
「その条件って何?」
「僕も付いていくということですよ」
「それだけでもう一度やり直せるの?」
「そうですが、しかしもしやり直したとしても、以前と変わらない、もしくは以前よりひどいという可能性もありますが、いいのですか?」
「別にいいよ、覚悟はできているさ」
「じゃあ、やり直しますね。
2015年に飛んでは僕とシンジ君の接点がないので、2005年ぐらいに飛びますよ」
「わかったよ」
「じゃあ、付いて来てください」
僕はシンジ君を連れて月読を待機させているところに戻った。
「大和君、これは?」
「これは月読、僕が作ったロボットです」
「そうなんだ」
「さあ、乗ってください。こいつで時間移動をしますから」
「わかったよ」
そうして僕たちは時間移動をした今度は間違いないはずだ。