影月の書
第十二日目







タタリとの戦いが終わり一晩が経った。
さすがにこれで死徒との戦いは終わりだろう。
とはいえこれからのことは分からないから絶対と言い切れないけれど。
一時の平穏だとしてもその平穏を謳歌するべきだ。
シオンさんもしばらく三咲町に滞在して、本来の目的である吸血鬼化から戻ることを研究されるようです。





それはどうであれ、ご主人の食事の準備等を済ませてしまわなければならない。
あれほどのことがあっても日常にはたいした影響もなく、今日もご主人は学校に行かれる。
変わらない日常であるからこそその日常は大切にすべきものであると思う。
人とは本来違う世界に生きているのだから日常などというものはいつ崩れてもおかしくないのです。





いままで僕たちの周辺にはご主人や僕ぐらいしか別世界の住人はいなかったけれども、これからはアルクェイドやシオンさんもいるので変わった事件が起こり易くなった。
だからそれを出来るだけ早く感知して、ことが起こってしまう前に何とかするのがこれからの僕の仕事になるでしょう。
仕事が増えたおかげで暇になることはないでしょうけれども、余裕もなくなってきますね。





出来ればご主人には魔界に戻っていただきたいというのはありますが、こればかりは無理でしょう。
ご主人は人間界での生活を楽しんでおられるようですし。





ご主人が戦えばたいていの事件は解決できる、しかしORTや朱い月のようなアリストテレスが現れたりしたらその限りではないでしょうけど。
しかし能ある鷹は爪を隠すというか、ご主人自体弱いものと戦うのがお好きではないのだ。
だからよほどのことがないとご主人は動かないでしょう。
そうでないと守れない平和というものもあるのです。
強すぎる力は戦乱を生むとよく言いますがそれは間違いないことですからね。





さてそろそろご主人もおきてこられることでしょう。
朝食の準備等は整っていますし、問題はないでしょう。
シオンさんは家に滞在されている客人ということになっているのですが、食事等は和風でも大丈夫なのかということが問題ではありますね。





シオンさんは朝食に関しては和食でも問題ないようですが、やはり活動時間は主に夜になるそうです。
僕は寝るということを基本的にしないのでそれは問題ないですし、夜の話し相手等にもなっていただけるでしょうからよいことです。





これからの少し変わった日常を楽しく過ごしていけるか少し心配ではありますが、それはなるようになるでしょう。
これで今回の件に関する記録は終了します。






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