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ナイフエッジ・ピントアダプター 望遠鏡を使って星雲・星団の拡大撮影を行う、直焦点撮影においてピントを正確に出すためのアダプターです。フィルム装填前にピント合わせを行います。
望遠鏡を使って星雲・星団の拡大撮影を行う直焦点撮影においては、対象となる星が暗いために通常の写真撮影のようにファインダーで正確にピントを合わせるのは困難です。

そのピント合わせの方法としてよく行われるのが、ナイフエッジ法です。レンズ(望遠鏡)の焦点位置において、ごく薄いナイフの刃によって焦点像を切り(遮断し)、その際の焦点像の変化によってピント位置を判断します。


そのナイフの刃の位置をフィルムの位置と一致させることが重要になります。そこでフィルム装填前にカメラの裏蓋を開けて、フィルムガイドレールを利用します。

(1) アダプターの製作


ホームセンターで、厚さ2mmのアクリル板と鉛筆削りを購入しました。材料費は数百円です。

鉛筆削り(右下の画像)の刃をナイフエッジとして利用します。この鉛筆削りには刃が2つ付いていましたが、大きい方の刃を使用しました。
それにはM2サイズのねじが通る穴が2つ開いています。この画像では既に刃はひとつ取り去っています。

アクリル板はカッターで簡単に好みのサイズに切ることができます。そして刃の穴の位置に合わせて、ドリルで穴を開けました。

もちろん左下の画像のように刃がアクリル板から少しはみ出るようにします。
(その分、取り扱いに注意ですね。)

そして適当な長さのM2ねじとナットで、ナイフの刃をアクリル板に取り付けます。


私はフィルムの吸引を前提にしていましたので、その位置の調整のために、アクリル板と刃の間にフィルムを1枚挟みこんでいます。

またアクリル板の大きさは、カメラのフィルムガイドレールの外側のものの間隔にあわせてあります。

その理由については次に説明します。


(2) ナイフエッジの位置の調整

カメラのフィルムガイドレールは、一般に外側と内側の二重になっており、そこに段差が0.2,mm存在するようです。外側のガイドレールには裏蓋から圧板が密着します。また内側のガイドレールの間隔はフィルムの幅より狭いので、フィルムはそれより前側に行くことはありません。

その一方でフィルムの厚さは0.12mm程度ですから、0.08m程度の自由度が存在することになります。

フィルムは通常では内側のガイドレール上に位置し、カメラレンズなどはこの位置に対してピントが合うようになっています。
いわゆる"フィルムの浮き上がり'とは、この0.08mの自由度の中でフィルムが(レンズの焦点位置に対して前後方向に)動くことによって発生します。

フィルムの浮き上がり対策として行われるフィルム吸引を行うと、圧板にフィルムを吸い付けるのですから、フィルムは圧板位置すなわち外側ガイドレールの位置に下がることになります。
乳剤面はレンズ側にあるので、ピント位置としては、吸引を行わない場合と比べて、0.08mm裏蓋側に後退します。

別の言い方をすれば、この場合ピント位置(フィルムの乳剤面)は、外側ガイドレールからフィルムの厚み分だけ前方にあることになります。

ですから、私はアクリル板を外側ガイドレールの位置として、更にフィルム1枚をアクリル板と刃の間に挟みました。

これが吸引をしないカメラ用でしたら、アクリル板を内側ガイドレールの位置として刃を直接取り付けることになります。私の場合、35mm判カメラでは吸引を行わないので、こちらの方法でナイフエッジ・ピントアダプタをつくりました。サイズが小さい35mm判ということで鉛筆削りの小さい方の刃を使用しました。

(3) 実際の使用

PENTAX 6x7で実際に使用するときの様子の画像です。ご覧いただけるように、外側のフィルムガイドレールにアクリル板を載せます。

上の画像とは刃の付いている面が裏表逆です。


明るい星を中央付近に導入し、このアクリル板を左右に手で動かしてその焦点像を刃で切ります。
このままでは見にくいので、刃の位置に適当なアイピースを手で押し付けて拡大しながら、焦点像の様子を確認しています。

さすがに、このやり方だとあまり高度の高くない星でピント合わせを行うのが楽ですね。

使用しているPENTAX 100SDUFは、立派なヘリコイド目盛りが付いているので、ピントを合わせた後にはその目盛りの値を記録するようにしてます。

このやり方では、フィルムを装填した後にはもうピントの確認はできなくなってしまいますので、誤ってピント位置をずらしてしまった場合などに対応するためです。
またピント位置は基本的には温度(気温とヒーターの温度)によって決まるので、その記録を集めておけば、そのうちに気温がわかればピント位置もわかるはずと期待しています。


(4) 改良版の製作

使い勝手を改善するために改良版を製作しました。
今度は、アクリル板の中央にスリットをあけて、そこにナイフエッジを取り付けました。そして拡大用のアイピースを保持するために、手元にあった31.7mm -> 24.5mmのアダプターを接着しました。これによって、24.5mm径のアイピースを使用することができます。ちなみに、私はビクセンのOr 12mmを使っています。


今まではアイピースを右手で持ち、左手でこのピントアダプターをスライドさせて星像を切ってのですが、片手で操作できるようになりました。

従来のものでは、ピントアダプターをスライドさせるときの力の入れ具合などによっては、ナイフエッジの側がフィルムのガイドレールから浮き上がってしまうことがあり、注意が必要だったのですが、これについても改善できました。ナイフの刃が飛び出さないようになったので暗闇で操作しても安心なのも良い点です